絵本や童話とは、子どものためのものではありますが、
時に、大人が読んでも心の中に何かが湧き出す時ってあります。
先日、ネイティヴ・アメリカンの教えを物語にしたというこんな絵本を目にしたのです。
《こころにすむ おおかみ》
先住民の首長が、孫に言いました。
「人間の心には、おおかみが二匹住み着いているのだよ。」
「一匹は 悪いおおかみ。
それは 怒り 妬み 嫉妬 自己憐憫 強欲 偽り 傲慢 優越感 後悔 罪悪感 劣等感、そして エゴだ。」
「もう一匹は 良いおおかみ。
それは 喜び 平和 愛 希望 寛大さ 穏やかさ 謙遜 優しさ 思いやり 慈悲 友情 共感、そして 信頼だ。」
「この二匹のおおかみが、心の中で常に争っている。」
すると、孫はおじいさんに尋ねました。
「どちらのおおかみが勝つの?」
おじいさんは答えました。
「おまえが餌を与えるおおかみの方だよ。」と。
長い年月を生きてくると、自分の人生と照らし合わせながら、言葉の意味だったり、見えない行間だったりを想像し、自分なりの「読後感」が湧き出してきます。
それは、後悔だったり、時に、これでよかったんだよなぁ…という安堵感だったりするのですけどね。
「読書は心を耕す」とよく言われます。
文章を読んだ後の世界観や読後感は人それぞれ違っており、その人なりの感覚が心の中に自然と湧き出す。
こんなところが、「読書は心を耕す」と言われる所以なのかもしれません。言い方を変えれば、「感性磨き」とでもなりましょうか。
これは、子どもにとっても然り。
読み聞かせをしてもらったり、自分で物語を読みながら、心の中で自分なりの世界を作り上げていき、ストーリーや行間から、自分なりの感じ方や思いが湧き出す。
こんな体験を小さい頃から続けていくと、きっと、心のひだの深い感性豊かな人間になっていくのでしょうね。
どんな人の心にも住み着いている、この二匹のおおかみ。
さ〜て、あなたは、普段、
どっちのおおかみに餌を与えていますでしょうか?
(つぶやき)
勿論、アニメ映画も素晴らしいのではありますが、一つの作品から与えられる情報量のことを言えば、アニメ映画を10とすれば、絵本や童話は6程度かもしれません。ですが、残りの4の中に、想像力や空想力、行間を想像する力や自分なりの世界観等々、とても魅力的なものがたくさん隠れているように思うのです。もしかすると、絵本、童話、物語、そして、読み聞かせとは、子どもの心を耕し育てる「魔法の杖」なのかもしれませんね。