私の住む町では、
毎日夕方5時になると、
「ふるさと」のメロディーが町中に流れます。
それを聞くと、
さっきまで元気に遊んでいた子どもたちが、
「じゃーね〜」と言いながら、
すーっとお家に帰って行くのです。
親が声をかけずとも、
自然にこうなっていくのです。
ふと考えてみれば、
何とも不思議なこと。
だって、お家では、
親が毎回口を酸っぱくして言っていることでさえ、
そうできないことがたくさんありますものね。
もしかすると、
この不思議さの中に、
「約束事」っていう
子どもの中の「括り方」があるのかもしれません。
「約束事」って、とってもよい言葉。
この言葉の響きは、
「きまり」よりも、
ずっと心にスーッと入ってきますものね。
更に、
このチャイムの不思議さは、
今は姿をなくしてしまった
震災前の街並を思い出させてくれるもの。
遠く離れた人にとっては、
故郷への郷愁を誘うもの。
時に、
天の上にいる
大切なあの人を思い出させてくれるもの。
たった一つのチャイムが、
それぞれの人の心に、
様々な色合いを醸し出してくれます。
夕方の「ふるさと」は、
何とも不思議な存在なのであります。
(実際の陸前高田の夕方チャイム)